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宗教法人の設立

宗教法人の設立

宗教法人の設立を目指す方へ

熱心に宗教活動に取り組んでいる団体であれば、可能性は十分にあります。
ただし、しっかりと日本の社会に受け入れられる形で運営されていなければなりません。
そして、誠実に宗教活動を行っていることを行政にアピールして、十分理解してもらうことが大切です。

このページをご覧になっている方の中には、既に所轄庁(群馬県庁、東京都庁等)に出向いた方もいらっしゃるかもしれません。そこで担当者に「法人化しなくても宗教活動はできるんじゃないですか?」などとそっけない対応を取られたり、あまり親身になってもらえず途方に暮れたりしたかもしれません。

所轄庁に相談にやって来る方々の大半が、準備が足りていない状態だそうです。ご自身の団体が現在どの段階にあるのか、これから何をすれば法人化に近づけるのか。まず要件を確認し、現状を把握することが大切です。必要に応じて団体の運営方法を修正しながら、一歩ずつ進めていきましょう。

誰が設立できるのか

宗教団体であること

宗教法人を設立できるのは”宗教団体”に限られています。宗教団体とは「教義を広める」「儀式行事を行う」「信者を教化育成する」活動を目的としている団体のことです。つまり、世の中の人々に広める「教え」のようなものを持ち、それを広めて新たな信者を増やしたり教育したりしていて、定期的に参集し儀式行事を行う…のような活動です。

信者の人数も重要な要素です。都道府県によって違いますが、数十名~100名程度は必要だとお考えください。そして年々増えて、団体として成長していることが示せるとベストです。在籍する信者は信者名簿でしっかりと管理していなければなりません。

礼拝の施設を持っていること

礼拝の施設とは、宗教活動をするに必要な境内地・境内建物です。神社でいえば神様を祀る社殿、イスラム教でいえばモスクなどがそれにあたります。

ほとんどの都道府県では、境内地と境内建物は自己所有であることを求められます。賃貸で良い場合もありますが、長期間安定的に使えることが条件です。規模の大小は問われていませんので、信者が参集して拝礼するに十分足りるものであれば、過度に立派なものでなくても大丈夫です。

建物は閉鎖的であってはならず、できるだけ公開性を持たなくてはなりません。例えば、東京都ではオートロック機能のあるマンションは原則的に礼拝の施設と認めていません。何をもって「公開性がある」といえるかは宗教の特性・慣習にもよりますので、所轄庁の理解を得る努力が必要です。

団体の代表者個人名義で所有していることが多いと思いますが、設立後は法人名義に移すことになります。

宗教的な指導者がいること

僧侶、神主、牧師のような方々が必要です。儀式を主導し、教育し、信者の皆さんを宗教的な高みへと導くことが役目です。そして、他の指導者を育成する仕組み、資格を認定するような仕組みがあるとより良いでしょう。宗教法人は永続的に存続する見込みが求められるため、指導者不在の状態は避けなければなりません。

規則で運営されていること

団体は運営の柱となる規則を持たなければなりません。規則には、団体の名称、役員の選任方法、議決機関などを定めます。そして、法律に則った構成で作成する必要があります。ただ定めただけでなく、実際に規則に従って運営し、会議の議事録などをしっかりと残していく事が大切です。

どこに申請するのか

申請先は「所轄庁」です。所轄庁は事務所がある都道府県によって決まります。例えば、群馬県にあれば群馬県庁、東京都内にあれば東京都庁、埼玉県なら埼玉県庁、神奈川県なら神奈川県庁…ということになります。

ただし、他の都道府県にまたがって施設を持っている場合は、文部科学省が所轄庁になります。例えば、東京と神奈川の両方にあるのであれば、東京都でも神奈川県でもなく、文部科学省に申請します。(実際の窓口は文化庁)

宗教法人の設立に向けて

まず何をすべきか

上述のように、一定の信者数や礼拝の施設は必須のものですが、これらが揃うには時間も費用もかかると思います。しかし規則の制定はすぐにでも取りかかれるでしょう。適切な規則で長期間運営されていることは良い印象を与えます。以下に典型的な規則を示します。

ダウンロード:宗教法人規則例

群馬県庁が作成したものですが、他の都道府県でも使えます。これを見ながら団体独自の規則を作成(または見直し)してみてください。法律上変えてはいけないところ、変えても良いところがありますので、ご心配な場合は当事務所で作成を代行したり精査したりするご依頼もお受けしています。

他の規則を参考にしたい

既存の宗教法人の規則を全文取得できる場合があります。ご自身の団体に性質が近そうな法人がありましたら、取得を試みることができますので、どうぞご相談ください。

手続きの流れ

大体の要件が揃ってきたら、具体的な手続きを検討していきます。大まかには次のような流れで進むことになります。

  1. 礼拝の施設と十分な信者数を確保、規則を作り運営体制を整える
  2. 所轄庁と事前協議を開始、3年間以上の実績を積む
  3. 所轄庁承諾の後、役員会議で議決
  4. 設立公告
  5. 所轄庁に規則の認証申請
  6. 所轄庁の審査、認証後、所轄庁から規則認証書の交付
  7. 宗教法人設立登記(交付日から2週間以内)
  8. 所轄庁へ登記簿謄本を添えて成立届け提出

このように、要件が揃ったからといってすぐには手続きに入れません。3年程度の活動実績が必要です。そして3年活動すれば必ず設立を認められるわけではなく、あくまでも目安です。健全に活動を行なっている様子を行政が確認できなければなりません。活動中の収支や会議議事録、写真を定期的に報告することで確認してもらいます。この間を事前協議といいます。

所轄庁は、審査が通る見通しが立っていないと判断すると事前協議を始めてくれません。よって、当面の目標として事前協議を目指して準備を進めていくことになります。

外国人による宗教法人の設立
Establishing a religious corporation by foreigners

外国籍の方も代表者に就任できます。在留資格の種類に制限はありません。代表者が日本に居住していなくても良い場合もありますが、法人の事務を滞りなく執行できる体制を整えておく必要があります。手続きの中では、今後永続的に活動を続けていけそうか? という観点からも審査されます。しばらく活動したが帰国して空っぽの法人に…という事態にならないようにしなければなりません。以下に参考情報として要件及び手順を日本語と英語で記した文書を公開します。

DOWNLOAD: THE REQUIREMENTS FOR ESTABLISHING A RELIGIOUS CORPORATION
DOWNLOAD: THE PROCESS OF ESTABLISHING A RELIGIOUS CORPORATION

当事務所へのご依頼

宗教法人の設立は我が国で最も難しい申請の一つですが、それだけに大きくやりがいを感じる業務です。お引き受けした際には最善を尽くしてサポートさせていただきます。

受任の折には、所轄庁との折衝は基本的に全てお任せいただきます。依頼者様には、活動に関する資料のご提供のほか、施設の現地調査のご協力、所轄庁から要請があった場合面談の場にご同席いただくことをお願いしています。

規則の作成・精査のみでもお受けしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

対応エリア

基本的な対応エリアは群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県の一部です。その他の地域についても受任可能な場合がありますので、お問合せください。

費用について

当事務所の報酬は、受任~完了までの期間に応じて申し受けます。標準的なケースでは、契約時に必要経費として¥100,000をお支払いいただき、その後は事前協議の開始~認証の取得まで、半年毎に¥160,000のご請求とさせていただきます。必要経費は日当や交通費、郵送費等に充てられ、不足する場合は追加していただき、余れば最後に返還いたします。

他にも登記費用や税金がかかります。すべての費用を予め正確に算出するのは難しいかもしれませんが、代表的な費用項目は下記をご参考にしてください。

礼拝の施設は設立後の法人に所有権を移さなければならず、その際は大抵の場合、売買することになります。贈与しても良いのですが、そうすると、(贈与する側の)個人にかかる譲渡所得税が高くなります。これを非課税にする制度もありますが、簡単な手続きではありません。手続きは税理士の業務範囲になりますので、もし検討する場合は予めよく相談しておくことをお勧めします。

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