- ホーム
- 第2章 設立前の確認
- 宗教法人の作り方 – 2.2 手続きの流れを確認しよう
宗教法人の作り方 – 2.2 手続きの流れを確認しよう

宗教法人の設立までどんな道のりをたどるのか、一般的な例を紹介します。あくまでも例ですが、これを見てまずイメージを掴んでください。
1.団体の紹介資料を準備する
宗教法人の許認可権限を持つのは所轄庁、つまり都道府県庁です。ここにまず自身の宗教団体を認知してもらい、法人化の意思を伝えることがスタートになります。
しかし、なんの準備もせずに訪問しても門前払いに近い扱いを受けるだけ。団体の姿を、これまでの活動実績を知ってもらうために、概要を書いた資料や財務資料、活動している様子がわかる写真などを入念に準備しておきます。具体的な準備事項は後の章で詳しく説明します。
2.所轄庁を訪問する
都道府県庁の宗教法人担当部署に電話をかけて、「宗教法人の設立を考えているのですが」と伝えます。日時を調整して面談の約束を取り付けましょう。
当日担当者に会ったら宗教法人を設立したい旨を話し、事前に用意した資料を見てもらいながら団体の概要を紹介します。
担当者の方からは、前節で挙げたような要件のお話があるかもしれません。自身の団体がそれらを満たしているようであればそれを説明し、満たしていない点は持ち帰って再度検討します。
3.事前協議の開始
所轄庁との打ち合わせを重ねるうち、要件が整う見込みが立ってくると事前協議が開始されます。事前協議は3年程度続けられると考えてください。この間、通常通りに宗教活動を行っていき、少なくとも1年に一度、下記のような書類を所轄庁に提出します。
- 責任役員会議事録
- 収支決算書
- 財産目録
- 年間行事計画表
- 儀式行事を行っている様子の写真
また、必要と思われるタイミングで現地調査も行われます。
所轄庁は一定期間観察を続けることで、宗教法人として活動していけそうか否か…つまり、規則に沿った活動ができるか? 作るべき書類をきちんと作れるか? などといったことを見極めます。
4.申請書の提出
無事に3年程度の活動を認めてもらえれば、いよいよ申請書と添付書類を提出します。提出書類は所轄庁によって違いますが、30~40種類前後作ることになるでしょう。所轄庁は受け取ったら審査を始めます。
5.設立の登記
審査を通れば、所轄庁から「認証書」が送られてきます。ここまでくれば難しい箇所をクリアしたと言えるでしょう。
後は締めくくりとして、法務局で法人を登記。これで宗教法人が成立しました。おめでとうございます。
6.礼拝の施設の所有権を移す
やっと設立できた…と長い道のりに思いを馳せたいところですが、最後の作業が残っています。礼拝の施設が個人所有のままですので、これを成立したばかりの法人名義に移さなければなりません。
単純に考えれば、個人から法人に土地と建物を贈与、登記すれば済んでしまいます。もちろんこれでも良いのですが、次のような出費を考えておく必要があります。
- 譲渡所得税(贈与した個人側にかかる税金)
- 登録免許税(登記手続きのときにかかる税金)
- 不動産取得税(贈与された法人側にかかる税金)
- 固定資産税(贈与された法人側に毎年かかる税金)
上記は、一つ一つ手続きすれば非課税になる可能性があります(絶対とは言えませんが)。ですが、かなりの手間と時間を見込んでおかなければなりません。専門家に頼めば費用もかかります。支払うことになる税額と手間・費用を予め計算したうえ比較して、行う手続きを決めると良いでしょう。