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宗教法人の作り方 – 1.2 なぜ皆宗教法人になりたがるのか?

私の事務所は、宗教法人の行政手続きを専門としています。いろいろなお問合せを頂きますが、「宗教法人を設立したいのですが」というご相談を一番多くお受けしています。

皆さんそれぞれに思惑があると思いますが、苦労して設立した後、どんな利点があるのか具体的に整理してみましょう。

 宗教法人は非課税

まずはこれが一番に思い浮かぶかもしれません。しかし、日本には多くの税目がありますが、すべて払わなくてよいのでしょうか? 実はそうでもありません。非課税になるのは、「宗教活動に直接関係がある」場合だけです。非課税になる税目を全て解説すると煩雑になるので、ここでは代表的なものを列挙してみましょう。

 固定資産税

所有している土地や建物などにかかる税金で、毎年、市町村(東京の場合は東京都)が課税します。神社の社殿やお寺の本堂、モスクの建物、それらが建っている土地、参拝者用の駐車場などは非課税です。

例えば、建物の一部を賃貸していて収入を得ている…宗教活動とは関係ない活動に使っている土地がある…場合には、通常通りに課税されます。当局は、課税するにあたって、その物件に課税すべきか否かを調べています。

ちなみに、個人の土地や建物であっても、宗教法人の宗教活動に無償で貸している場合は非課税になります。賃貸料をもらって貸している場合はなりません。

 不動産取得税

その名のとおり、土地や建物を取得したときに一度だけ都道府県に支払う税金です。買ったときのほか、無償でもらったときにも課税されます。

例えば、礼拝の施設を新しく建てた、近隣の土地を譲り受けた…などの場合、登記を済ませた後に県税事務所から納税の連絡があります。

さほど意識されない税金ですが、不動産の価値によっては少しまとまった金額になるかもしれません。

 登録免許税

土地や建物を取得して、登記するときに法務局で支払う税金です。司法書士さんに登記を依頼すると、請求書の中に含まれていることが多いので、これもあまり意識されない税金ではないでしょうか。

 法人税

株式会社などは、企業活動によって得た所得に法人税が課されます。一方、宗教法人が宗教活動で得た所得には課税されません。

注意したいのは、非課税なのはあくまでも上で述べたとおり「宗教活動に直接関係がある」所得だけです。宗教活動に関係ない活動で得た所得には、通常通り課税されます。

宗教活動による所得とは、例えば、ご祈祷料、お守り授与料、寄付金など。それ以外の所得は、駐車場料金、自動販売機の売り上げ、賃貸料などです。

宗教法人の所得だからといって、すべてが非課税になるわけではありません。株式会社をやっているけども、税金を払うのが大変だから宗教法人を利用し節税したい…と考えてもうまくいかないでしょう。

 消費税

消費税とは、商品やサービスなどの対価が対象になる税金です。宗教法人のご祈祷料などはサービスの対価ではなく寄付金であると考えられているため、課税の対象にはなりません。

なお、あくまでも「寄付金」なので、一般に、神社やお寺のご祈祷料は定価のようには定めていません。ご祈祷の案内看板などで「○○円 ”以上”」のような表示を見たことがあるでしょうか? はっきりと金額を決めてしまうと、あたかも商品のようになってしまうからです。

 印紙税

印紙税は、土地や建物を売り買いするときに作る契約書、お金を受け取ったときに発行する領収書、請負仕事をお願いするときに作る契約書などにかかる税金です。通常、これらの書類には「印紙」を購入して貼り付けなければなりません。

しかし、宗教法人が発行する領収書には印紙の貼り付けが必要ありません。しかも、宗教活動に関係ないお金の受け取りに関しても必要ないのです。例えば、有料駐車場の地代を受け取る場合にも不要です。

 譲渡所得税

正確には、これは宗教法人にかかる税金ではありません。例えば、個人が自分の土地などを宗教法人に寄付すると、寄付した側である個人にこの税金がかかります。

厚意で寄付したのに、どうして個人側が課税されなければならないの? という気持ちになりますが、節税でみだりに宗教法人を利用されないようにするためと思われます。

とはいえ、公益のために純粋な気持ちでする寄付にまで課税するべきではないという考えもあり、一応譲渡所得税を非課税にする道も用意されています。ただ、かなり難しい手続きなので、あまり利用されていないようです。

 財産を持つことができる

詳しくは後で説明しますが、宗教団体は儀式行事を行う必要があります。そして儀式行事を行うには、礼拝の施設(土地と建物)がなくてはなりません。

礼拝の施設を個人で持つのは大変です。法人ではない宗教団体が礼拝の施設を持つとき、代表者の名義にしたり、中心メンバーで共有名義にしたりすることが多いです。

当面は問題ないでしょう。しかし、代表者が替わったり、メンバーが入れ替わったりした場合はどうなるのでしょうか。その度ごとに所有権を移さなければなりません。登記するときにかかる税金も馬鹿になりませんし、権利の関係でトラブルになることもあります。

法人の名義で礼拝の施設を所有しておけば、そのような心配はありません。実際、「宗教法人」という法人の形が国に認められている一番大きな意義は、宗教活動の基盤となる財産を安定して持てるようにする、という点にあります。

 高い社会的な信頼性

宗教法人を設立することで、宗教活動を行うための信頼性を高めることができます。

宗教法人は公益法人の一種です。つまり、一部の人達の利益ではなく、社会全体の利益のために活動している団体である、と公に認められた存在といえるでしょう。

その分求められるのが、信者や支援者の寄付金の管理や宗教行事の運営などを、透明かつ公正に行うこと。これにより、社会からの信頼度を高め、宗教的な活動に対する支持を集めることができます。

 

以上のように、宗教活動を法的に支えることができるだけでなく、社会の信頼も獲得できることが、宗教法人を設立する大きなメリットです。

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行政書士(群馬県行政書士会)

富士浅間神社(群馬県神社庁)禰宜

趣味は下手の横好きプログラミング。マンカラという簡易ボードゲームのAIを苦労して作るが、子供にあっさり負かされる。
生活を便利にするガジェットが大好きで、できる限り家電をスマート化している。玄関ドア→スマートロック、アレクサ→5台、掃除機→ルンバ、テレビ→スマートリモコン、加湿器→自動給水&自動運転に改造…などなど。
ビートルズ好き。友人に勧められて芸人の深夜ラジオを聴き始め、空気階段とマヂカルラブリーにはまる。


行政書士さくら法務事務所

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