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- 第3章 とりあえず規則を作ってみよう
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宗教法人の作り方 – 3.4 規則を作ろう 3(代務者、仮役員)
代務者
代表役員や責任役員が何らかの理由で職務を果たせなくなってしまったときは、代わりとなる者を立てなければなりません。それを「代務者」といいます。
第二節 代務者
(置くべき場合)
第十条 次の各号の一に該当するときは、代務者を置かなければならない。
一 代表役員又は責任役員が、死亡、解任、辞任、任期満了その他の事由によって欠けた場合において、速やかにその後任者を選ぶことができないとき。
二 代表役員又は責任役員が、病気、長期旅行その他の事由によって三月以上その職務を行うことができないとき。
よくあるケースとしては、代表役員が亡くなった後、跡継ぎがなかなか決まらなかったり準備ができていなかったりした場合、ひとまず一時的に代わりの人が代務者に就任することが多いと思います。
(資格及び選任)
第十一条 代表役員の代務者は、前条第一号に該当するときは、信者のうちから責任役員会において選任し、同条第二号に該当するときは、信者名簿に登録された者のうちから代表役員が選任する。
2 代表役員以外の責任役員の代務者は、信者名簿に登録された者のうちから、責任役員会において選任する。
就任資格(信者名簿に登録された者)を明記しておきます。または、「代表役員が予め指定した責任役員が就任する。」などとしても良いでしょう。
(職務権限)
第十二条 代務者は、代表役員又は責任役員に代わって、その職務の全部を行う。
ここでは、「職務の全部」としましたが、一定の重要な行為(財産処分や規則変更)を制限しておくこともできます。
仮代表役員・仮責任役員
今回の仮役員と、先ほどの代務者は役職名だけを見れば区別がつきにくいかもしれません。しかし、選任されるときの状況は全然違います。代務者は役員に不測の事態が起きたときに選任するのに対し、仮役員は団体と役員の利害が相反するときに選任します。
もう少し詳しく説明します。例えば、代表役員A氏が個人的に持っている土地を団体に売却することになったとします。A氏としては、できるだけ高く売りたいはずですね。対して、団体はできるだけ安く買いたいはずです。つまり、両者の利害が対立する状況になるわけです。
こんなとき、売り主と買い主(の代表者)が同一人物であると、団体側は不当に高く買わされることになるかもしれません。それを防ぐために、団体側にA氏でない人物を代表に立てて契約を結ぶのです。これが仮代表役員です。
第三節 仮代表役員及び仮責任役員
(選定)
第十三条 代表役員又はその代務者は、この団体と利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、信者名簿に登録された者のうちから、責任役員会において仮代表役員を選定しなければならない。
2 責任役員又はその代務者は、その責任役員又は代務者と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しない。この場合において、議決権を有する責任役員又はその代務者の員数が責任役員会における当該事項に係る議決数に満たないこととなったときは、信者名簿に登録された者のうちから、責任役員会においてその議決数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選定しなければならない。
責任役員の場合も同じく、利害が相反するときに仮責任役員を選任することになるのですが、少し事情が違います。
例えば、責任役員の総数が3人で、その過半数(2人以上)で議決する決まりだとします。もし、利害関係があるのが3人中2人だった場合、その2人が議決に参加できないと議決数(過半数)を下回ってしまいます。よって、議決数に達するまでの人数、つまり最低1人は仮責任役員を選任しなければなりません。
一方、もし利害関係があるのが3人中1人だけだった場合、議決数を下回らずに済みます。よって、仮責任役員は選任しなくても良い、ということになります。
(職務権限)
第十四条 仮代表役員又は仮責任役員は、前条に規定する事項について当該代表役員若しくは責任役員又はその代務者に代わってその職務を行う。
なお、仮代表役員や仮責任役員の権限は、その案件(例えば契約行為など)限りです。案件が終了すれば、退任することになります。