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- 第3章 とりあえず規則を作ってみよう
- 宗教法人の作り方 – 3.6 規則を作ろう 5(財産の管理、処分)
宗教法人の作り方 – 3.6 規則を作ろう 5(財産の管理、処分)
財産の管理
宗教団体は、礼拝の施設や活動資金などの財産を持っています。それらは、宗教活動を行うために必要な、最も基礎となるものと言えるでしょう。それだけに、規則では財産に関する規定をしっかりと定めて、適切に管理できるようにしておかなければなりません。
第三章 財務
(資産の区分)
第二十一条 この団体の資産は、特別財産、基本財産及び普通財産とする。
2 特別財産は、宝物及什物のうちから設定する。
3 基本財産は、次の各号に掲げる財産とする。
一 境内地、境内建物その他財産のうちから基本財産として設定するもの
二 基本財産として指定された寄付財産
三 基本財産に編入された財産
4 普通財産は、特別財産及び基本財産以外の財産とする。
ここで使われている用語を簡単に説明します。
- 宝物:その団体にとって宗教上かけがえのない財産(例えば本尊、神像など)
- 什物:宗教活動に使用する重要な道具類
- 基本財産:境内地、境内建物、一定のまとまったお金(株式会社の資本金のようなイメージ)
- 普通財産:日常の宗教活動に使うお金
(特別財産及び基本財産の設定及び変更)
第二十二条 特別財産又は基本財産の設定又は変更をしようとするときは、責任役員の議決を経なければならない。
(基本財産の管理)
第二十三条 基本財産たる現金は、銀行に預け、又は確実な有価証券に替えるなど、代表役員が適正に管理しなければならない。
財産の処分等
法律の専門家にもあまり浸透していないのですが、宗教法人の財産(主に土地や建物)は代表役員の一存で自由に売ったり担保に入れたりすることはできません。これを知らずに正規の手順を踏まなかった場合、せっかくの契約も無効になってしまいますので注意が必要です。ここでは、団体の財産を処分する際の手続きを定めます。
(財産の処分等)
第二十四条 次に掲げる行為をしようとするときは、責任役員会の議決を経て、その行為の少なくとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。ただし、第三号から第五号までに掲げる行為が、緊急の必要に基づくものである場合又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合にあっては、公告を行わないことができる。
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
二 借入れ(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入れを除く。)又は保証をすること。
三 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替えをすること。
四 境内地の著しい模様替えをすること。
五 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらをこの団体の主たる目的以外の目的のために供すること。
実務上ではつい見落としがちなのが、「公告」の手続き。この規則では公告のやり方を第四条で定めました。財産を処分することは、信者の方々にとって重要なことです。できる限り、その決定を周知させなければなりません。信者が処分を知った結果、もし意見が出れば慎重に検討すべきです。ただ、必ずしも意見を反映させなければならないわけではありません。